紅茶はそれぞれの産地で栽培されそのまま出荷されているもの以外にも、茶葉に香りをつけて加工したフレーバーティーがあります。
今でこそさまざまな種類のフレーバーティーが登場していますが、その始まりは中国の「ラプサンスーチョン」からでした。
ラプサンスーチョンは中国生まれの元祖フレーバーティーともいえる紅茶で、好みがわかれる独特の香りを持っていますがその香りが癖になることも。
イギリスなどのヨーロッパでも人気で、日本人にも愛飲者がいるラプサンスーチョンは一体どんな紅茶なのか?
この記事ではラプサンスーチョンの特徴やおすすめの飲み方をご紹介します。
ラプサンスーチョンとはどんな紅茶?
ラプサンスーチョンは中国の福建省武夷山市周辺で生産されている紅茶です。漢字だと「正山小種」と表記されることも。
福建省武夷山市は紅茶発祥の地で、武夷山の「武夷茶(ボヒー茶、ボーヒー茶とも)」が紅茶のルーツと言われています
世界で初めて作られた紅茶でありフレーバーティーの元祖でもあるラプサンスーチョンは、いわば紅茶の起源と言える紅茶です。
またイギリスでの人気が非常に高く、生産されたほとんどがイギリスに輸出されるほどで、日本へはイギリス経由で輸入されています。
日本はイギリス経由じゃないと手に入らないとは・・どれだけ気に入ってるのイギリス人よ・・・
ラプサンスーチョンの特徴は?
【ラプサンスーチョンの特徴】
- 茶葉:黒くツヤがある
- 味:控えめな渋味とコク、スッキリとした後味
- 香り:独特の燻製香
- ※水色:褐色がかったオレンジ
※水色:紅茶の抽出液の色
ラプサンスーチョンの一番の特徴はなんと言ってもその香りです。
ラプサンスーチョンは生産の過程で松の木の煙でいぶして乾燥させます。その時に香りがつき独特の燻製香を持った紅茶になります。
香りの例えによく正露丸の香りが使われますが、これは正露丸の主成分の「クレオソート」が松の燻製香と似ているためなんです
ほかの紅茶には無いその独特の香りから好みが分かれることもありますが、「この香りが癖になる!」とハマってしまう方も少なくないとか。
そしてこんな特徴的な香りを持ったラプサンスーチョンですが、コクや渋みが少なく後味もスッキリしています。
全体的に穏やかでさっぱりとした味わいなので、以外に飲みやすいんですよ。
ラプサンスーチョンは発酵の過程で偶然生まれた?
ラプサンスーチョンは元々茶葉を発酵させる過程で偶然生まれた紅茶です。
ラプサンスーチョンが生まれたのは17世ごろの福建省桐木村でした。この村はラプサンスーチョン誕生以前からお茶の生産をしていましたが、軍の駐屯地になったことでお茶の生産が出来なくなったんです。
その軍が村を去った後、お茶の生産を再開し生産の効率を上げようと茶葉の発酵を早く進めるために松の木を燃やして温度を上げました。
そこで偶然松の煙の香りが茶葉に付き、ラプサンスーチョンが誕生したんです。
ほかにも元々標高が高く気温の低い村で茶葉の発酵が進みにくかったので松の木を燃やして温度を上げたという説もあるんですよ
その発祥にはっきりした結論が出ていませんが、どちらにせよラプサンスーチョンの誕生は紅茶の文化に大きな影響を与えたんですね。
実は中国生まれな紅茶の歴史について↓
ラプサンスーチョンから生まれたアールグレイ
紅茶に詳しくない方でも一度は聞いたことがあるアールグレイ。実はアールグレイはラプサンスーチョンから生まれた紅茶なんです。
そのルーツには諸説ありますが、1830年代のイギリス首相「二代目・グレイ伯爵」がラプサンスーチョンを気に入り、当時高価で中々手に入らなかったラプサンスーチョンをイギリスでも作れないかとイギリスの紅茶メーカーに依頼しました。
そして誕生したのが、紅茶に柑橘系のベルガモットの香りを付けたアールグレイです。
なぜベルガモットを使ったのかと言うと、当時のラプサンスーチョンは今のような燻製香ではなく中国の果物「龍眼」のような香りを持っていました。
これが龍眼です↓
あくまで“ような”で龍眼の香りを付けたのではなく、元々龍眼に近い香りを持っていたんです
なので龍眼の代わりにベルガモットを使い、ラプサンスーチョンを再現しようとしたのでしょう。
ちなみに、伯爵が英語でアールということから名前もグレイ伯爵からちなんで付けられたとされていますよ
アールグレイについて詳しくはこちら↓
ラプサンスーチョンのおすすめの飲み方とは?
ラプサンスーチョンはやはりその独特の香りを楽しむ紅茶と言えます。なのでまずはストレートティーで飲むのをおすすめします。
最初は砂糖やミルクを入れないで、ラプサンスーチョンそのままの香りを楽しんでみてください。
また香りを楽しむ点で言えばより香りを感じられるホットティーがおすすめですが、アイスティーでも香りを楽しめますし、さっぱりした飲み口で飲みやすいですよ。
ストレートティーの入れ方について詳しくはこちら↓
香りがちょっと苦手だなっと思ったら・・
ラプサンスーチョンは独特な香りを持っているので、一度ハマれば癖になってしまいますが、やはり苦手に思う方もいると思います。
ですが、苦手だからと敬遠する前に試してみてほしい飲み方があります!
試してほしい飲み方その①:ミルクティー
ラプサンスーチョンはミルクとの相性も悪くないので、ミルクティーにしてもおいしくいただけます。
ミルクを入れると香りもマイルドになるので、「ミルクティーなら飲める!」となるかもしれませんよ。
ミルクティーにするときは濃いめに抽出するのがポイントですよ!目安は表記の2倍の時間ですね
試してほしい飲み方その②:硬水で飲む
紅茶は水でも味が変わってくる飲み物です。硬水だとコクが出やすく渋味や香りが抑えられ、軟水は風味ほどよく出て香りや渋みが感じられます。
これだけを聞くと軟水のほうが紅茶に適しているのではと思いますし、一般的にもそう言われていますが、もしラプサンスーチョンの香りが苦手だと思うのであれば、硬水がおすすめです。
硬水で入れると香りが抑えられ飲みやすくなり、さらにコクも出るのでまた一味違った味わいになります。
硬水は海外産のミネラルウォーターの「コントレックス」や「エビアン」などがありますよ
ラプサンスーチョンは燻製香が特徴的な紅茶です。その香りはスモークサーモンやスモークチーズなど燻製料理と相性がよく、中国の紅茶なので中華とも合います。また甘すぎない和菓子ともよく合うでしょう。
まとめ
- ラプサンスーチョンは中国の福建省武夷山市周辺で生産されている紅茶
- 世界で初めて作られた紅茶でありフレーバーティーの元祖
- 独特な燻製香が特徴的で味はマイルドでさっぱりしている
- ラプサンスーチョンは発酵の過程で偶然誕生した
- アールグレイはラプサンスーチョンから着想を得て生まれた
- おすすめの飲み方はストレートティー
- 香りが苦手な方はミルクティーか硬水で飲むと飲みやすくなる
ラプサンスーチョンはとても個性的な香りを持っていて、好みの分かれやすい紅茶ですが、その香りがついつい癖になってしまう紅茶です。
世界初の紅茶でありフレーバーティーの元祖でもあるラプサンスーチョンは、17世紀から現在まで長く愛される魅力があるのでしょう。
香りが苦手だと思っても、飲みやすい味わいだったり飲み方によっては香りもマイルドになったりするので、ぜひ機会があればチャレンジしてみてください!
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